アマゾン

 

「パーティーを楽しみなさい。しかし出口の近くで・・・」

 

 

 

相場では、このように言われる事があります。

 

「いつでも売って、逃げられるようにしなさい」という意味です。

 

特に最近の相場については、ヘッジファンドなどのプロ達の間でも「パーティーを楽しみなさい。しかし出口の近くで・・・」と言われているようです。

 

 

 

先日、米中貿易摩擦問題を巡って麻生財務相は「貿易量が落ちると経済が縮小するし、他国への影響も大きなものになる」と述べました。

 

さらに世耕経済産業相も「広範な貿易制限措置は世界経済に深刻な足かせになるだけでなく、米中以外にも予期しない悪影響をもたらす可能性がある」と述べました。

 

 

 

ところがこのような状況の中、先週は米国株式市場で株が2日連続で過去最高値を更新しました。

 

日経平均も今年の最高値に迫る勢いとなっています。

 

バブル崩壊の最後は「ババ抜き合戦になる」と言われますが、そのような感じの相場になっているように思えてきます。

 

 

 

先週のコラムでは、ゴールドマン・サックスの「弱気相場リスク指数」が50年ぶりの高水準、危険シグナルとされる金銀レシオの「80」超え、ジム・ロジャーズ氏の「リーマン・ショックを超える金融危機の発生が近づいている、前代未聞のとんでもない危機が避けられない」という警告、前ECB(欧州中央銀行)総裁の「リーマン・ショックのあった2008年よりも危険な状態になっている」という警告等について紹介をしました。

 

 

 

私は、これらの警告の方が「まとも」で、今の相場展開の方が「おかしい」と思っています。

 

 

 

最近の為替相場についても、最も売られているのが「円」で、次が「ドル」となっています。

 

同時に「金」も相当売り込まれていることから、「有事の円」「有事のドル」「有事の金」とは反対の「楽観相場」になっている事が分かります。

 

 

 

本当に十分な「根拠」があっての楽観相場ならいいのですが、各国が発表している経済指標そのものが「粉飾」されているのではないか、という疑問の声も少なくはなく、注意が必要だと思います。

 

私達個人投資家としては、本当に「楽観」できるような状況にあるのかどうかを一度真剣に考えた方がいいと思います。

 

 

 

 

 

さて最近、「amazon 世界最先端の戦略がわかる」(ダイヤモンド社)という本を読みました。

 

 

 

Amazon(アマゾン・ドット・コム)については、買い物などで利用経験のある方も多いかと思いますが、上記の本を読みますと、アマゾンという企業の「凄まじさ」がよく分かると思います。

 

 

 

上記書籍で、印象に残った点を以下に整理してみます。

 

 

 

 

 

・アマゾンの株価は、上場した時よりも1252倍に上昇している

 

 

 

・アマゾンの創業者、ジェフ・ベゾスは世界長者番付で首位に立ち、資産総額は1120億ドル

 

 

 

・数年以内に、商品をドローンで配達する事を想定し、ドローンの基地を空に作る事を計画

 

 

 

・株式市場には「Death by Amazon(アマゾンによる死者リスト)」という言葉があり、アマゾンによって倒産に追い込まれるのではないかとされる54銘柄(企業)がリストアップされている

 

 

 

・アマゾンの時価総額は7777億ドル、日本最大のトヨタ自動車で2400億ドル

 

 

 

・アメリカのビッグ5と呼ばれるグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフトの時価総額の合計は36699億ドルに達し、GDP世界4位のドイツをも凌ぐ規模になっている

 

 

 

1999年、格付け機関のムーディーズとS&PはともにアマゾンにCランク(投資に値しないという評価)をつけ、2000年にはリーマン・ブラザーズが「アマゾンは債務超過の瀬戸際にある」と警告したが、その後アマゾンは大化けした

 

 

 

・アマゾンのクラウドサービス(AWS)は機密情報を扱うCIA(米中央情報局)もお墨付きを与え、CIANASA(米航空宇宙局)をはじめ、顧客には世界中の錚々(そうそう)たる企業が並ぶ

 

 

 

・アマゾンは動画や映画などコンテンツを配信するだけでなく、作り手としての顔も持ちだし、その脅威はハリウッドなどの映像制作会社にも及ぶ

 

 

 

・アマゾンは巨大な倉庫と配送力で物流を制そうとしている

 

 

 

・アマゾンは金融業にも乗り出しており、銀行のように決算書を見る事もなく、1ヵ月以上の期間を要したりする事もなく、自分で持っている膨大なデータを分析して最短で翌日に融資している

 

 

 

・アマゾンはコンビニエンス事業への進出を発表し、それがレジの無いコンビニであることから、コンビニ業界に激震が走っている

 

 

 

 

 

上記を見れば、アマゾンの「凄まじさ」が分かると思いますが、私達個人投資家としては上記の【1999年、格付け機関のムーディーズとS&PはともにアマゾンにCランク(投資に値しないという評価)をつけ、2000年にはリーマン・ブラザーズが「アマゾンは債務超過の瀬戸際にある」と警告したが、その後アマゾンは大化けした】という事実をしっかりと押さえておくべきです。

 

 

 

なぜならば、アマゾンを批判したこれらの格付け機関は倒産1年前のリーマン・ブラザーズにAAA(最上級)の評価をつけ、「アマゾンは債務超過の瀬戸際にある」と警告したリーマン・ブラザーズ自体がリーマン・ショックで倒産に至っているからです。

 

いかに出鱈目(でたらめ)な評価だったかが分かると思います。

 

 

 

しかし上記書籍で書かれていたのですが、アマゾンはこれらの格付け機関やリーマン・ブラザーズから酷評されていた時期にも、創業者のジェフ・ベゾスが「長期的な視点が大切」だと言い、一切姿勢がブレなかったと言います。

 

このブレない姿勢というのは、私達個人投資家としても見習うべき点であると思います。

 

 

 

「ブレない」という事については、私としては今の相場はおかしいからこそ振り回されないぞと決意する事、近い将来、「有事の円」「有事のドル」「有事の金」によって、これらが急激に買われる展開になるという考えをしっかり持ち続ける事が大事であると思っています。

 

 

 

引き続き頑張っていきましょう。