FRBが1年ぶりの利上げを決めました。
2017年は3回の利上げが中心シナリオとされています。
最近のドルの急激な上昇も、FRBによる利上げペースの加速観測が背景にあります。
今回のコラムでは、「実際どうなりそうなのか」を考察したいと思います。
結論から申しますと、「利上げが3回もあるはずがない」と私は思っています。
冒頭で述べたように、今回の利上げは「1年ぶり」です。
しかし、昨年の今頃、多くの専門家が何と言っていたかといいますと「2016年は4回の利上げ」です。
なんでこんなに乖離するのでしょうか?
これはもう、「FOMCの議事録をきちんと読んでいないから」としか考えられません。
今回の利上げに際しても、難しそうな言い回しをしていますが、分かりやすく説明すると、「当面は静観する」という事になります。
したがって、利上げペースの加速観測を背景にした現在のドル高も、近いうちに頭打ちとなって下落に転じるのではないかと考えておいた方が良いように私は思います。
問題は「近いうちに」がいつなのかという事ですが、トランプ大統領就任の2017年1月20日が相場の転換点になるのではないかとの見方が多くあり、そこは注目した方が良さそうに思います。
ちなみに、以前のコラムでもお伝えしましたが、トランプ次期大統領は「ドル安志向」です。
「トランプはレーガンの再来か」「トランプはレーガンになれるか」「トランプはレーガン後継者か」など、トランプ次期大統領は何かとレーガン元大統領と比較されています。
なぜなら、トランプ次期大統領が打ち出している「減税」「政府支出の拡大」「軍事力強化策」はレーガン元大統領の政策と重なるからです。
ただし、決定的な違いがあります。
レーガン元大統領は「強いドル、強いアメリカ」を信奉していましたが、トランプ次期大統領は「ドル安志向」です。
トランプ次期大統領は選挙期間中に、「米国がデフォルト(債務不履行)を選択するかもしれない」と発言しました。
もし、米国がデフォルトという事態になれば、ドル安は間違いないですし、世界経済は大混乱です。
しかし、米国のデフォルト発言はさすがに衝撃が大きかったようで、その後は「米国はドルを刷るのでデフォルトする必要はない」と自身の発言の火消しに追われました。
このような発言からも分かりますが、今後はトランプ次期大統領の発言によって、相場が二転三転する展開が予想できます。
そして、二転三転する中で、値動きの変動、つまりボラティリティが高まる展開が予想できます。
「トランプ相場はトランポリン相場になるだろう」と言われています。
さらに、来年は酉年です。
「申酉騒ぐ(さるとりさわぐ)」の相場格言にもあるように、来年は値動きの荒い年になると見られています。
したがって、今後はより一層慎重に臨む事をオススメしたいと思います。