AI投資元年

 

今年は「AI投資元年」だと言われています。

 

今回は、そんなAIをテーマにしたいと思います。

 

 

 

その前に先日本屋で、某投資系の雑誌が目に留まりました。

 

手に取ってページをめくってみたのですが、「ある意味で懐かしいもの」がたくさん載っていました。

 

それは以下のようなものです。

 

 

 

サポートライン、レジスタンスライン、移動平均線、一目均衡表、ゴールデンクロス、デッドクロス、フィボナッチ、MACDRSI、平均足・・・・・

 

ドル円は目先下降、本国投資法の実施でドル買いが増える、損失回避が収益拡大の秘訣、経験が何より重要、ユーロドルは目標水準に到達か、VIX(恐怖指数)の重要性・・・・・

 

 

 

雑誌には上記のように様々なテクニカル分析が載っており、さらに様々な専門家が様々な事を語っていました。

 

私が「ある意味で懐かしいもの」と言いますのも、これまでに当然ながら一通りのテクニカル分析を学んできたからです。

 

また昔から「ああでもない」「こうでもない」と試行錯誤を重ねてきたからです。

 

 

 

こういった「テクニカル分析」や「様々な専門家が様々な事を語る」という事について、「昔も今も変わらないな」という感想を抱きました。

 

いつの時代も、みんな「正しい答え」を求めて模索しているからです。

 

 

 

またこういった投資の世界では「短期間に膨大な利益を上げた」といった類の話があちらこちらに転がっています。

 

ところが、これら諸々の話には注意が必要で、「じゃんけん大会」の観点が大事です。

 

「じゃんけん大会」の観点とは、1000人や1万人といった大きな人数で「じゃんけん大会」をした場合、9連勝や10連勝といった人達が「必然的に」出てくるという観点です。

 

しかしその後も「11連勝」や「12連勝」となるとは限らない、という観点です。

 

投資においても同様の事が言えますので、一歩引いて冷静に向き合う事が大事だと思います。

 

 

 

さてこのように、雑誌のページをめくってみての感想でしたが、私は今こそ「全てを超越した視点」が重要だと思います。

 

それが冒頭の「AI」の話に繋がってくるのです。

 

 

 

と言いますのも、以前のコラムでも語りましたが「ゴールドマン・サックスで、2000年にニューヨーク本社の現物株式取引部門に配属されていたトレーダーが600人だったのに対し、今ではわずか2人」という現実があるからです。

 

投資銀行界の雄であるゴールドマン・サックスにおいて、ことごとく「人」から「機械(AI)」に置き換わっている現実があるからです。

 

 

 

当然ゴールドマン・サックスのトレーダーともなれば、テクニカル分析や経済ニュース・世界情勢についても一通りの事は把握しています。

 

しかしそれでも「人」から「機械(AI)」に置き換わっている現実にこそ目を向けなければなりません。

 

要するに、短期で結果を求められる世界においては、人よりも機械(AI)に分があるという事なのです。

 

 

 

一方で、このような事も言われています。

 

「本当にAIが人間よりも優れているのなら、相場の値動きは常に合理的になるのではないか?」

 

 

 

ところが、前述のゴールドマン・サックスのように、投資銀行出身のトレーダー達に話を聞きますと、みんな「最近の相場はおかしい」と言います。

 

この背景について技術的な話をしますと、人口知能には「ストロングAI」と「ウィークAI」というものがあります。

 

「ストロングAI」は人間の脳を人工的に作るものであり、「ウィークAI」は高性能なコンピュータを作るものになります。

 

現在の人口知能はウィークAI、すなわち優れたコンピュータを目指す方向にあります。

 

つまり「人間的な脳」ではなく、あくまで「コンピュータ」という事で、人間的な「ちょっと買われ過ぎではないか? 売られ過ぎではないか?」「なんか、おかしいぞ」といった感覚が無いわけです。

 

最近の相場はそんなAI同士が競い合っているからこそ「合理的」からは程遠く、多くの投資家に「おかしい」と言われるような値動きに至っているのだと考えられます。

 

「合成の誤謬(ごうせいのごびゅう)」という言葉がありますが、「正しい事+正しい事=間違った結果」がAIによって引き起こされていると考えられるのです。

 

 

 

ちなみにAIについては、世界の要人達も警鐘を鳴らしています。

 

ロシアのプーチン大統領は「莫大な可能性がある一方で、予測困難な脅威をはらんでいる」と語り、

 

21世紀最大の天才起業家と呼ばれるイーロン・マスク氏は「人類文明が直面する最大の脅威」と語っています。

 

 

 

私達投資家はこのような背景を把握した上で、前述の「全てを超越した視点」を持たなければならないと思います。

 

それは、ただ単に「テクニカル分析」「ファンダメンタルズ分析」という事ではなくて、「AIが相場に及ぼす影響」までも考慮した視点です。

 

ところがそんなAIが「不合理」を引き起こしているわけですから、結局のところ「不合理の中でいかに勝つか?」という事を考えなければならないのです。

 

 

 

ここで、前述のゴールドマン・サックスの話を整理します。

 

・トレーダーが、ことごとく「人」から「機械(AI)」に置き換わっている

 

・短期で結果を求められる世界においては、人よりも機械(AI)に分がある

 

 

 

結局このような背景を考えていきますと、私達「人間」投資家としましては、対抗策が必要だという結論になってきます。

 

それは「勝つまで耐える」「勝ってから利益を確定させる」という事になるかと思います。

 

これが「人間」投資家としての合理的な対抗策になるかと思います。

 

そして、「不合理な値動きには我慢」「短期で勝てた場合はラッキーと捉える」というスタンスである事も大事でしょう。

 

 

 

冒頭のように、今年は「AI投資元年」と言われています。

 

それは決して「喜ばしい」とは思いませんが、時代が変わってきている以上、私達もマインドチェンジをしなければならないのだと思います。