不正操作

 

これまでも方々で語ってきましたが、今回は相場における価格の不正操作について言及したいと思います。

 

 

 

価格の不正操作は「イタチごっこ」であり、なかなか無くならないのですが、例えば2015928日(日)には以下のような記事がニューズウィークから出ています。

 

『スイス当局、貴金属価格操作の疑いで大手銀行への捜査開始』

 

http://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2015/09/157005.php

 

 

 

上記記事には以下のような事が書かれています。

 

『貴金属や外国為替市場についてはここ数年、金融機関などが不正操作の疑いで捜査の対象になる例が続いている』

 

『米司法省やFRBなどの当局が、外国為替相場の不正操作問題をめぐって、欧米の金融機関6社に対し約60億ドルの罰金を科している』

 

 

 

つまり、記事のタイトルこそ「貴金属価格の操作の疑い」となっているものの、外国為替市場でも不正操作が行われているという事です。

 

つまり、我々FX投資家にとっても無視できない問題なのです。

 

 

 

そして、実はこの問題の闇は深いのです。

 

前述の米司法省やFRB、さらにはSEC(証券取引委員会)といった当局ですが、なんと金融機関とグルになっている、と言われています。

 

もっと言いますと当局の内部でも分裂していて、真面目に取り締まろうとするグループと金融機関とグルになっているグループとがあるようです。

 

 

 

前述の貴金属の代表といえば「金」ですが、なぜ「金」の不正操作が行われるのかと言いますと、金相場がドルや米国債の健全性を示す指標になっているからです。

 

つまり、ドルや米国債の信用が揺らぐと金相場が上昇し、逆にドルや米国債の信用が高まると金相場が下落するという関係なのです。

 

したがって、不正操作によって金相場が下落したとしても、ドルや米国債、つまりアメリカ政府の「信用=価値」を守っているという理屈で、当局の中には金融機関とグルになっているグループがあるという事です。

 

 

 

その金融機関とグルになっている当局のグループが大手銀行を使って、さらには大手銀行の子会社のヘッジファンドを使って、金相場を下落させる動きをしているという事なのです。

 

 

 

したがって、この手の価格操作は「イタチごっこ」で、当局の中にも金融機関とグルになっているグループがいる以上、取り締まりが不完全になってしまうのです。

 

 

 

数年前には、世界で最も権威ある雑誌とされる「エコノミスト」で「史上最大の詐欺事件」と報じられたLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の不正操作事件がありました。

 

これも欧米の大手銀行が中心となって、長年に渡り不正操作を繰り返していたのですが、LIBORが操作されると、債券や株式、為替、商品・・・と、あらゆる市場にも大きな影響が出るので、この事件は大問題となりました。

 

「当局もグル」と言いましたが、ここでもイギリス当局が自国のバークレイズ銀行などにLIBORの不正操作を働きかけていた事が暴露されています。

 

 

 

要するに、大手銀行も信用できなければ当局も信用できない、という状況の中で「イタチごっこ」となっているのが相場における価格の不正操作の実態なのです。

 

 

 

そんな中で、近年台頭してきたのが各国中央銀行によるQE(量的金融緩和)やマイナス金利政策です。

 

これは、「価格の不正操作」とは言わないかもしれませんが、立派な「価格操作」である事には間違いありません。

 

なぜなら、相場をある一定方向に導く行為だからです。

 

 

 

今回、相場における価格の不正操作をテーマにしたのも、みなさんに相場のリアルな現実を知っていただきたかったからです。

 

 

 

相場の世界に参加するという事は、このような「価格の不正操作」が日常的に行われている世界に自らのお金を投じるという行為なのです。

 

 

 

こんな世界で利益を出そうと思えば、相応の「戦略」と「慎重さ」が必要になってきます。

 

「戦略」と「慎重さ」のどちらを欠いてもダメです。

 

 

 

さらに、近年はスーパーコンピュータによるHFT(超高速取引)の台頭などもあり、多くのプロ投資家も苦戦している現実があります。

 

相場を取り巻く環境も日々どんどん変わってきているという事なのです。

 

 

 

だからこそ、「戦略」と「慎重さ」が大事なのです。

 

 

 

みなさんも、ぜひ「戦略」と「慎重さ」の二点をしっかり意識して、今後の相場に臨んでいただきたいと思います。