プロの分析

 

4月米雇用統計が発表されました。

 

非農業部門雇用者数は前月比16万人増と市場予想平均の前月比20万人増を下回り、失業率は5.0%と市場予想平均の4.9%より弱い結果となりました。

 

しかし、ここで注意しないといけないのは、メディアはすぐに「アメリカ経済が減速」といったような報道をしがちだという事です。

 

こういったメディアの報道を鵜呑みにしますと、投資における判断を誤ってしまいかねないので注意が必要なのです。

 

 

 

投資のプロには色んなタイプの人がいますが、徹底的に分析をするタイプのプロであれば、月次の数字であれば3か月平均にして推移を見るのが当たり前です。

 

つまり、米雇用統計であれば、3か月平均にして推移を見るという事です。

 

一方で、YOYもチェックします。

 

YOYとは対前年比でどうかという事です。

 

また、新規失業保険申請者数のように毎週出てくる発表数字の場合は、4週平均にして推移を見ます。

 

 

 

なぜ、このような事をするのかと言いますと、11回の発表で一喜一憂していても流れがつかめないからです。

 

人間の体温でも365分の時もあれば368分の時もあるように、経済指標でも毎回発表される数字は変化するのが当たり前だからです。

 

したがって、11回の発表に振り回されていても大局をつかめないので、3か月平均や4週平均、YOYなどを見て判断をするわけです。

 

 

 

アメリカ経済といえば、米雇用統計が重視されますし、実際に重要である事には間違いありませんが、徹底的に分析をするプロの場合、BLS調査もチェックします。

 

BLSとは米労働統計局の事ですが、就業すべき就業年齢に属しながら、雇用が無いために就職そのものを諦めた人口などもこれでチェックをします。

 

同様にU6(求職をあきらめた人や非自発的パートタイマーを含んだ失業率)もチェックをしますし、週平均労働時間、平均時給、27週以上長期失業者、州政府および地方政府雇用、求人者数などもチェックをします。

 

 

 

さらにGDP、新規住宅販売件数、中古住宅販売件数、住宅着工件数、ケース・シラー住宅価格指数、住宅差し押さえデータ、ISM製造業景気指数、ISM非製造業指数、小売売上高、乗用車販売台数、建設支出、非住宅建設支出、公共建設支出、貿易収支、個人所得、鉱工業生産、消費者物価指数、フィラデルフィア連銀指数、ニューヨーク連銀製造業指数、耐久消費財受注・・・と挙げればキリがないほどチェックをします。

 

 

 

ここまでチェックをした上で、アメリカ経済はどうなりそうなのか、ドルはどうなりそうなのかという判断をしているわけです。

 

 

 

もちろん、一般個人の方がここまでの分析をする必要はないと思いますが、ひとつだけハッキリ言えますのは「だからこそ、メディアの報道を鵜呑みにしてはいけない」という事なのです。

 

 

 

私は日頃から中長期で買える通貨は「ドル」と「円」だと言っていますが、まさに上記に挙げたような総合判断が根拠になっています。

 

だからこそ、ともに買える通貨である「ドル」と「円」、つまりドル円なると中長期の判断が難しいのですが、一方でユーロドルやユーロ円等、「ドル」と他通貨、「円」と他通貨という組み合わせですと判断が明確なわけです。

 

 

 

ここでは日本には触れず、アメリカに注目をして話をさせていただきますが、アメリカは世界最大の経済大国でもありますし、上記経済指標の結果からもリーマンショック以降着実に経済が回復してきている事が分かります。

 

さらにシェール革命でエネルギーは自前でまかなえますし、先進国で唯一労働人口が増えていく国であるのがアメリカになります。

 

 

 

したがって、これらをFXの視点で、中長期の視点で考えますと、「ドルは安くなったら買い」というのが必然的な判断となります。

 

ドル円となると前述のように判断は難しいのですが、他通貨との組み合わせであれば迷う事はない、というのが私の結論です。

 

 

 

ですので、みなさんもぜひ、今回の話を参考にしていただけたら幸いです。

 

そして何度も言いますが、「メディアの報道を鵜呑みにしないように」という事を強くお伝えしたいと思います。

 

一喜一憂ではなく、大局を見る事を忘れずに臨んでいただけたらと思います。