トランプ発言

 

「イスラム教徒を完全に入国禁止にする」

 

「不法移民を防ぐために、メキシコとの国境に万里の長城を築く。もちろん費用はメキシコ持ちだ」

 

「大統領選に勝利・就任初日に、中国を為替操作国に認定する」

 

「北朝鮮の核の脅威に対抗するために、日本や韓国が核武装をする事を容認する」

 

 

 

「不動産王」ドナルド・トランプ氏が過激な発言で注目を集めています。

 

トランプ氏の勢いは止まらず、ついに共和党の大統領候補の指名獲得が確実となりました。

 

トランプ旋風とも言える現象ですが、背景はどうなっているのでしょうか。

 

 

 

トランプ氏を支持しているのは、白人で中年、男性、人種偏見者、業務内容が主に肉体労働主体のブルーカラー、といった人達です。

 

低学歴の白人労働者が主にトランプ氏を支持していると言われています。

 

こういった人達の生活水準がどんどん低下しているのが現在のアメリカの姿なのです。

 

 

 

冒頭で紹介したトランプ氏の発言からも想像できますが、「アメリカ国内こそが大事で、世界がどうなっても知ったことではない」というのがトランプ氏の本音のようです。

 

 

 

そんな中で、最近では、同じ白人でも高学歴のエリートとされる人達からもトランプ氏を支持する動きが見られるようです。

 

 

 

アメリカでは、リーマンショック時に、失業率が大幅に増加し景気が大幅に悪化しました。

 

しかし、直近の数年間で失業率が大きく改善し、景気指標もどんどん上向いてきています。

 

発表される「経済指標」等を見ても、非常に良い「数字」となってきているのです。

 

 

 

ところが、ここで重要になってくるのが「数字」からもう一歩踏み込んだ「中身」です。

 

中身を見る上で参考になるのが、世論調査会社ギャラップが発表する「グッドジョブ指数」です。

 

これを見ますと、無職でないとはいえ、フルタイムで定収がある人の比率が4割強しかおらず、ここ数年で労働環境がほとんど改善していない事が分かります。

 

つまり、多くのアメリカ人が「景気が良い」とは実感できておらず、不満を強めている事が推察できるのです。

 

 

 

そんな中で、低学歴の白人労働者だけでなく、同じ白人でも高学歴のエリートとされる人達からもトランプ氏を支持する動きが見られるのも、現状に対する「不満」が背景にあると考えられます。

 

つまり、それは「政治不信」でもあるわけです。

 

 

 

こういった政治不信が渦巻く中、「お行儀が良いだけの政治家に現状の改善を期待する事自体が無駄だ」といった思いを持つ国民が増えているのだと思われます。

 

 

 

アメリカは湾岸戦争にアフガン戦争、イラク戦争と、巨額のお金を使いながら多くの犠牲者も出し、中東の混乱を招きました。

 

そんな中で、近年、生活水準が低下している多くのアメリカ国民がいるわけです。

 

「他国に首をつっこんで、お金を使う必要はない」と考える国民が増えてきているわけです。

 

だからこそ、「アメリカ国内こそが大事で、世界がどうなっても知ったことではない」という考えで過激な発言を繰り返すトランプ氏に支持が集まっているのだと思われます。

 

 

 

しかし、そんなトランプ氏でありますが、支持が盤石とは言い難い面もあります。

 

それは、やはり本人の過激発言に原因があります。

 

「美人は大好き。ブスでのろまな女は最低だ」

 

 

 

このような発言が問題視されると、今度は「この国には公正で中立的なバカが多すぎる」とツイッターでつぶやいています。

 

アメリカは当然ながら人口の半分は女性ですし、このような過激発言の中でどれだけ女性の支持が集まるのか疑問なところです。

 

また、数々の過激な発言から危険視され、「トランプ降ろし」が行われないとも限りません。

 

 

 

という事で、今後も何かとトランプ氏は注目を集めるでしょうが、もしトランプ大統領となったら、為替や株はどうなるのでしょうか。

 

為替に関しては、円安になったせいで日本企業が利益を増やし、アメリカが不利になっているという批判をトランプ氏は展開していますから、円高圧力が強まってくるものと思われます。

 

また、円高圧力が強まるなら、これらの日本企業の利益が下がってきますので、日本株に下落圧力が強まる事が予想されます。

 

 

 

そして、ここで重要なのは、大統領が確定する前の選挙期間中であっても、相場の世界は常に影響を受けるという事です。

 

なぜなら、マーケットというものは常に先読みをして動くものだからです。

 

 

 

ですので、今後も目が離せないトランプ氏であり、米大統領選挙なのです。