今週は「ヘッジファンド」をテーマにしたいと思います。
ヘッジファンドといえば、機関投資家や富裕層などから集めた巨額の資金を様々な手法で運用しているファンドの事です。
LTCMもかつては有名なヘッジファンドでした。
そして、著名投資家のジョージ・ソロス氏とジム・ロジャーズ氏がかつて手掛けたクォンタム・ファンドも有名なヘッジファンドでした。
ヘッジファンドに対する一般の方のイメージとしましては「なんだか危険な存在」「ハイリスクハイリターンを追求する」「巨額の資金で相場を暴騰・暴落させようとする」・・・といったイメージではないかと思います。
しかし、そんなヘッジファンドも近年では様子が変わってきています。
リーマンショック前は、多くの巨大銀行がヘッジファンドに資金を出していました。
ですが、リーマンショックのあった2008年に大部分のヘッジファンドが壊滅したため、今やレバレッジの高い危うい取引をしているヘッジファンドに資金を出すような金融機関は無くなってきています。
リーマンショック前までは10倍のレバレッジなどごく普通でしたが、リーマンショック以降はせいぜい2~3倍のレバレッジが関の山というのが現在のヘッジファンドです。
ですので、リーマンショック前ですとヘッジファンドは「マーケットの虎」といったイメージでしたが、今は昔ほどの勢いは無く、必要以上に警戒すべき存在ではなくなってきています。
したがって、よくある「ヘッジファンドが日本国債を暴落させる」などといった意見や報道は、かなり疑わしいという事です。
日本国債売りを仕掛けるなら、はるかに容易につぶれそうな他の国々の国債をまずはカラ売りするはずだからです。
そして同時に「ヘッジファンドが相場を崩壊させる」なんて時代はもう終わっていると言えます。
ここで一つニュースの読み方として注意せねばならないのですが、アメリカでは即日換金できるミューチュアルファンド(投資信託)以外は全てヘッジファンドに分類されています。
ですので、解約通知後10日から1ヵ月後に入金となるようなファンドはアメリカではヘッジファンドと分類されるわけです。
国債で安全に運用しているようなファンドでも、即日換金とならないものはヘッジファンドと分類されているのです。
さて、そんなヘッジファンドですが、近年は大苦戦となっております。
今年も世界中で損失、解約、破綻が相次いでいます。
昨年は1000を超えるヘッジファンドが生まれ、864のファンドが閉鎖したそうです。
ここで、ヘッジファンドが「大苦戦」となっている意味を真剣に考えなければなりません。
「必要以上に警戒すべき存在ではない」というのは前述の通りなのですが、ヘッジファンドを運用しているのは「プロ」です。
つまり、「プロ」が大苦戦している意味を考えなければなりません。
それは、「プロ」が今までの経験や日々入手している「情報」等から判断した“本来動くべき値動きと逆の値動きが頻繁に起きている”という事です。
素人集団なら話は分かりますが、少なくともプロ集団であるヘッジファンドが大苦戦しているという事は、“本来動くべき値動きと逆の値動きが頻繁に起きている”という事になるのです。
ですので、現在世界中至る所で問題が溢れている状況や、ヘッジファンドが大苦戦しているという状況を考慮しますと、「リーマンショック等の大事件が再度起こる前兆なのではないか?」というのが私の意見です。
ですので、今回の「ヘッジファンド」の話から私たちが学ぶべき事は、やはり「警戒を怠ってはいけない」という事に尽きると思います。
現在のヘッジファンドは「2~3倍のレバレッジが関の山」という話をさせていただきました。
なぜ、「2~3倍のレバレッジが関の山」なのかを考えなければなりません。
それは、プロのヘッジファンドでも、過度のリスクは“危険”と考えているからに他なりません。
私達もこういった現状をよく頭に入れて、臨むべきだと思います。
国内のFX会社のレバレッジは25倍まで可能となっていますが、「ヘッジファンドでも2~3倍」という事はよく意識しておく必要があります。
今回は「ヘッジファンド」のお話をさせていただきましたが、ヘッジファンドも大苦戦だという現状を忘れずに、日々慎重に取り組んでいただきたいと思います。