ユーロ

 

非常に荒れました。

 

日経平均は15000円を割り込み、週間での下げ幅は、あのリーマンショック以来となりました。

 

週初に117円台だったドル円は、一時110円台まで下落しました。

 

「アルゴリズムで超高速に動く現在の相場は、もはや理屈ではない」という声が市場関係者からも挙がっている状況です。

 

要するに、尋常ではない相場展開となっていたわけですが、ここにきて為替介入の噂もあり、今後も引き続き要警戒で臨まなければなりません。

 

 

 

さて今週のコラムですが、「そろそろユーロが崩れそう」という事でお話をしたいと思います。

 

値動きだけを見ますと、現在は比較的堅調なユーロですが、「そろそろ危ないのではないか」と私は思います。

 

 

 

ドイツ最大のドイツ銀行、スイス第2位のクレディスイスの株価があのリーマンショック時の株価を下回っているのです。

 

「ドイツ銀行は磐石である」とCEOが行員に伝えたと報じられていますが、過去にはリーマンブラザーズもベアースターンズもLTCMも同様の事を語っておきながら破綻した事実を忘れてはなりません。

 

 

 

一方、停戦合意から1年が経ちつつも今も交戦が続いているウクライナでは、財政が完全に行き詰まっていると報じられており、ウクライナの破綻は同国への貸付が焦げ付くという事を意味し、欧州で金融危機が警戒されています。

 

 

 

そして、ギリシャ危機も収束しておりません。

 

先日もIMF(国際通貨基金)欧州局長は「信頼に足るプランがなければ、ギリシャのユーロ圏離脱不安が再燃しかねない」と述べたところです。

 

もうすぐギリシャ危機から6年が経ちますが、いまだ危機を解決できていないことからも、ユーロは体制自体に問題があると結論づける事ができると思います。

 

 

 

また、警戒すべきはテロのリスクです。

 

米当局者は「欧州におけるテロの脅威が過去にない水準まで高まっている」と述べております。

 

もし、次のテロが欧州のどこかで起これば、欧州経済全体の減速は免れません。

 

 

 

さらに、ロシアの問題もあります。

 

「ロシアのルーブルが市場最安値」と報じられたのはつい最近の事ですが、いざという時に本当に困るのはロシアよりもこれまでの巨額投資がすべてパーになってしまう、ドイツ、フランスなどの欧州諸国、と言われています。

 

 

 

このように欧州に対する懸念は挙げればキリが無いのですが、最後に預金保証制度についても触れておきたいと思います。

 

今から3年前に、キプロスで起こった預金封鎖を覚えていますでしょうか。

 

この時、キプロスでは5年で11% などという預金金利がありました。

 

この預金金利に飛びついて、特にロシアからすさまじい金額がキプロスに集まっていました。

 

ギリシャ危機を見ても分かりますが、「もしもの事があっても最後はECBがなんとかする」と思われていたからこそ、すさまじい金額が集まったのです。

 

しかし、結果的には預金者の預金は預金課税という形、つまり強制課税の形で徴収される事となりました。

 

 

 

要するに、国家間で銀行の預金金利が違う欧州で、例えばギリシャ、スペイン、ポルトガル、といった国々の銀行が高金利で預金を集めたけれども破綻しそうになった時に、ECBはそれをも保護する必要があるのかといった問題に直面するわけです。

 

しかも、欧州には預金保証制度が不備な国がいくつもあります。

 

2024年までには一元化する」と報じられていますが、いったい何年先の話でしょうか。

 

預金保証制度の不備は、いざという時に預金流出を加速させ、金融危機をさらに悪化させる結果となるのです。

 

 

 

したがって、私は今ここで「そろそろユーロが崩れそうだ」という事を、みなさんにお伝えしたいと思います。

 

 

先週のコラムでは「日銀内部資料」の話をさせていただきました。

 

1ドル=117円」で2万通貨の売りポジションを保有したと仮定をした話をさせていただきましたが、一時的とは言え、今週早速110円台まで下落する場面がありました。

 

さらに、日銀内部資料以外からも、円高説が出てきています。

 

バークレイズ銀行は「1ドル=95円」という見通しを出してきました。

 

 

 

金融市場が波乱状態の今のような時こそ、「中長期で相場を考えていく視点」が重要です。

 

それが同時に、短期相場を冷静に見る事にも繋がるからです。

 

 

 

ぜひ、先週の「日銀内部資料」の話とともに、今後は「ユーロが崩れそうだ」という話も念頭に置いて、相場に向き合っていただけたらと思います。