1ドル=104円・・・・・シナリオ1
1ドル=93円・・・・・シナリオ2
上記は現在、市場関係者の間で話題になっている「日銀内部資料」に記載されたシナリオになります。
特に現在のマーケットは見事なほど「シナリオ1」に沿った動きになっているという事で、「本当に1ドル=104円まで進んでしまうのではないか?」との見方が市場関係者の間で台頭してきているのです。
「シナリオ1」で書かれている事は、中国経済の減速をきっかけに世界中が混乱相場に陥っていくという内容から始まるのですが、今がまさにその展開です。
さらに、日本から投資資金が引き揚げられていくだろうと続くのですが、年始からの日経平均株価の暴落を見ていましても、まさにその通りといった展開です。
注目は「シナリオ1」の「日本から投資資金が引き揚げられた」後の展開になります。
ズバリ、その後は「金融不況」に陥っていくだろうという事なのですが、その結果として「1ドル=104円」になるだろうとの事なのです。
そして、その実現時期はなんと今年2016年にという事なのです。
次は「シナリオ2」について見ていきましょう。
「シナリオ2」は、世界に再びリーマン・ショック級の出来事が発生したと仮定した場合のシナリオになります。
この場合は「1ドル=93円」になるだろうとの事なのですが、これも2016年にリーマン・ショック級の出来事が発生した場合に、2016年に到達するであろうという為替レートなのです。
以前も少し触れましたが、現在はサウジアラビアの動向に目が離せません。
それは同時に原油価格の動向でもあるのですが、前述の「投資資金が引き揚げられていく」の原因がサウジアラビアであり、原油価格なのです。
市場関係者の間でも、一番警戒されているのがサウジアラビアであり、原油価格の行方です。
要するに、昨今の止まらない原油安で財政の逼迫したサウジアラビアによる投資資金引き揚げが進めば進むほど、その影響は甚大なのです。
オイルマネーの逆回転に要警戒なのです。
さて、そんな中で私たちは今後どうすべきなのでしょうか?
考えられる対策は大きく分けて2つあります。
シナリオのような展開が起こると考えて行動するか、何も起こらないと考えて行動するか、という事になります。
シナリオのような展開にはならないと思えば、多少気をつけながらも、これまで通りにトレードをしていくという事になるでしょう。
しかし、ひょっとしたらシナリオのような展開になっていくかもしれないと思えば、今から保険的なポジションを持って備えておくのも一つです。
例えば、「1ドル=117円」で2万通貨の売りポジションを保有したとします。
そして、昨今のドル円の高値は昨年5月末頃につけた「1ドル=125.85円」ですので、もしこの値段を超える事があれば、その時は「シナリオは回避された」と判断して、2万通貨の売りポジションを損切りします。
この時の損失は約18万円になります。
そのかわり、もし「シナリオ1」が現実になった場合、1ドル=104円になるという事ですから、この時は逆に約26万円の利益になります。
「シナリオ2」が現実になった場合は1ドル=93円になるという事ですから、1ドル=117円で2万通貨の売りポジションを持っていたなら、約48万円の利益になります。
持っている2万通貨を「シナリオ1」で1万通貨決済し、「シナリオ2」で1万通貨決済した場合は約37万円の利益になります。
この保険的なポジションを各自がどう考えるかという事になるのですが、もしもの時はこの保険的なポジションによって、他で損失があったとしてもカバーされると思います。
自身の許容できる損失額や得られる利益額を計算しながら、保険的なポジションは保有するようにしたらよいと思います。
先週は、日本初のマイナス金利導入が決定され、ドル円は一気に121円台まで上昇しました。
しかし、今週に入った途端、値動き全てがかき消されたような展開で、現在は116円台です。
日銀のマイナス金利導入は、「人工知能でさえ肩すかしを食らわされた」という事で、ウォールストリート・ジャーナルで報じられているのですが、かなり予想外だったわけです。
そんな“予想外”でしたが、それでもマーケットへの影響は一瞬でした。
また、2016年に入ってですが、1995年3月以降のリターンが6400%という、非常に素晴らしい成績を誇るファンドが閉鎖されました。
ブルームバーグで報じられています。
閉鎖理由は「最近の市場が不合理すぎる」というものです。
こういった状況を総合して考えますと、日銀内部資料に記載された「シナリオ1」や「シナリオ2」を今のうちから想定しておいた方がいいだろう、と私は思います。
その上で、前述の保険的ポジションは一考に値するのではないかと思います。
いずれにせよ、今の相場は非常に不安定なので、資金管理やリスク管理をこれまで以上に厳格にするべきであると思います。